高密度星の冷却

出典: Astrophys. Lab., Kyushu Univ.

当研究室では、高密度星についての研究を行っています。

目次

まだまだ

書きかけです...m(__)m

著作権的に大丈夫な図がほしいところ...

高密度星

星の進化の最終段階で、超新星爆発の際に作られる天体です。 非常に高密度に圧縮されているため、中性子が過剰な核物質(いわば、1個の巨大な原子核)で構成されています。 平均密度は1014g / cm3ほどで、牛乳パックに富士山を詰め込んだ程度になります。

あまりの高密度・高圧力のため、天体の中心付近では核子(中性子・陽子)もその形状を維持できなくなり、ばらばらのクォークからなる物質(クォーク物質)が作られている可能性が議論されています。 ほとんどクォーク物質だけでできた星を「クォーク星」、中心部にクォークの核を持つ星を「ハイブリッド星」と呼び、スタンダードな「中性子星」と区別します。

高密度星は非常に極端な環境であるため、様々な特有の現象があります。

  • 表面があるので物質が積もる -> 溜まって表面で核燃焼 -> X線バースト
  • 表面磁場が強い -> シンクロトロン放射 -> 電波パルサー
    • さらに降着を受ける -> X線パルサー
  • 表面重力が強い -> 表面からの熱放射が赤方偏移
  • 内部で超流動 -> 自転速度の変動 -> グリッチ

また、連星系をなしている場合、伴星からのガスが降着して、降着円盤を形成しますが、円盤も非常に面白い現象です。(他の方任せたw)

高密度星の物理

高密度星は極端な物理に支配されます。

  • 密度のわりに低温

中心密度が1015g / cm3を超えますが、中心の温度は生成された直後で1010K(100億℃)と低温[1]になります。 一方、地上での加速器実験では高密度環境を一瞬だけ作ることができますが、ここで作られる環境は高温となり、高密度星の内部状態を再現できることにはなりません。

低温であるため、低温の物理現象が効いてきます。 その例が核子の超流動や、クォークのカラー超伝導です。 この二つの現象は、どちらも低温物理での超伝導や超流動と同じような現象です。 しかし、ペアを作ってボーズ凝縮するフェルミオンが、実験室でできる超伝導(電子)や超流動(He原子)とは違います。 核子の超流動は核物質中の陽子や中性子、カラー超伝導はクォーク物質中のクォーク(u,d,s)がそれぞれペアを作ります。

核子の超流動は磁場のピン止め効果でグリッチや単独星の進化の際の熱源になったり、核子の超流動・カラー超伝導ともに、ニュートリノ放射に対して影響を及ぼします。

また、カラー超伝導は、フレーバーとカラーの自由度があるため、ペアの作り方に種類があります[2]。これらのどの種類がどの温度-密度領域に出現するかの議論や計算が、原子核理論分野では行われています[3]

  • 小さく重い

高密度星の質量は太陽質量(1M_\odot \sim 2 \times 10^{30}kg)程度で、半径は10km前後です。 そのため、表面の重力が非常に強いものとなっています。

また、その小ささゆえ、半径の直接観測はほとんど不可能です。 間接的に、X線バースト時の光球膨張で測定することはできます。

質量の観測も、単独星の場合は非常に難しいです。 連星系の場合には、軌道周期や食、Shapiro Delay等から求めることは可能です。

  • 強い磁場

超新星爆発前の星(親星)が持つ磁場は、超新星爆発時に、磁束をキープしたままギュッと圧縮されます。 その結果、強い磁場(磁束密度)を持つことになります。 一般的な中性子星で1012G、マグネターと呼ばれる磁場の強い星で1015G程度の磁場を表面で持ちます。 比較のため、人が作った磁場のうち最も強いモノでも、107G程度です。 マグネターの強い磁場は、いまだ原因がよくわかっていません。

星の中にクォーク物質がある場合、クォーク物質が強磁性を持つ可能性が議論されています。 これがマグネターの元であるとの主張もあります。

  • 高密度星の熱的進化

高密度星は星の内部に熱源を持ちません。 恒星は、星の内部で構成している物質を核融合反応させて、熱源としています。

高密度星は熱源を持ちませんが、1010K程度の温度で生成されて、熱を外部に放出しながら熱的に進化します。 高密度星が熱を放出する方法としては、何かを放射する必要がありますが、フォトン(高密度星の表面温度ではX線)の放出は表面積に比例するためあまり強くありません。 主に、中心付近の核物質から放射されるニュートリノ[4]によって、高密度星の熱は奪われます。 1個のニュートリノが持ち出すエネルギーは大したことありませんが、大量のニュートリノが放出されるため、熱的進化に支配的に作用します。

ニュートリノ放射過程は、中心付近の物質の状態に大きく依存します。 通常の核物質では、中性子がはるかに多いため、以下のような中性子のベータ崩壊とその逆反応では保存則が成り立たず禁止されます。

n \to p + e^- + \bar{\nu}_e

p + e^- \to n + \nu_e

そこで、もう一つ中性子を巻き添えにした

n + n \to n + p + e^- + \bar{\nu}_e

n + p + e^- \to n + n + \nu_e

という反応(Modified URCA)しかできません。 この反応は、順反応と逆反応を繰り返すことで、ニュートリノによって内部のエネルギーを逃がし続ける反応となります。 しかし、Modified URCAはニュートリノ放射率が低く、一部の観測値を説明できません。

そのため、何らかの強いニュートリノ放射が必要となります。 この強いニュートリノ放射が何に起因しているかで、現在議論となっています。

現在の研究状況

私たちは、強いニュートリノ放射の元として、クォーク物質によるニュートリノ放射を考慮して計算を行っています。 また、強いニュートリノ放射は時として強すぎることもあり、ある密度よりカラー超伝導(ニュートリノ放射を抑制)を考慮しています。

カラー超伝導を考慮すると、重い星を冷えにくく、軽い星を冷えやすくすることができます。 この方法では、通常、中心密度が高い(重い星)ほど、強いニュートリノ放射をしやすい状態になり、結果として冷えやすくなってしまう従来の考え方をひっくり返すことができます。 観測結果より、比較的重い高密度星が、あまり冷えていない状態で見つかっており、その観測結果を説明することが可能となります。


ここから書きかけ

脚注

  1. フェルミ温度と比較して
  2. 2SCやCFL等
  3. QCD相図
  4. 光速は超えてはいませんでした
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